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ラドンが崩壊しても、さらに放出され続ける放射線

ラドン222は空気中にありふれて存在している物質であると同時に、自然由来の放射性物質の中で最も危険な放射性物質であるとも言えます。その理由はラドン222の出すα線が人体の内部から直接細胞に当たると強い発がん能力を発揮すること、そして崩壊した後もその崩壊生成核種がさらに崩壊を繰り返して強力な放射線を出し続けるからです。ウラン系列の途中にいるラドン222が崩壊を起こすと、下の模式図のような道筋を辿ってα線やβ線などの放射線を放出していきます。

上図の縦軸が質量数を、横軸が陽子数(原子番号)を示しており、矢印の方向に大きくなっています。そして丸く囲った元素同士を繋ぐ黒い矢印がα崩壊を、白い矢印がβ崩壊を表しています。

ラドン222は完全に崩壊が止まる安定核の鉛206までに計4本、比較的半減期の長い鉛210(半減期22.2年)へ至るまでの約50分間に計3本のα線を出します。つまりラドン222ががもし肺の中でα線崩壊を起こしたとき、娘核種のα線を含む3本のα線が肺の内壁の細胞分裂が盛んな部位へ短時間に当たってしまいます。

肺の細胞が人体の中でも特に放射線に弱いことと、α線が人体の細胞に直接当たると強い発がん応力を発揮するという事実も考慮に入れると、ラドン222による発がん能力は福島第一原発事故で有名になったセシウム137が出すγ線7,000本が身体に当たった相当する計算になります。

ラドン222の濃度は国や地域ごとに数倍のバラツキがありますが、人がこの地球上で生活するときに浴びる自然放射線は世界平均でおよそ2.4mSv/年と言われており、ラドンやその娘核種による被曝は屋外レベルでもその半分であると言われています。

歴史的にラドンの影響が如実に表れたケースとして、太古から1950年代頃まで世界中に存在した鉱山が挙げられます。当時坑道内で採掘作業に従事していた労働者たちの中では、肺がんによる死者が一般人よりはるかに高い確率で発生していました。長い間その原因は不明でしたが、19世紀の末に放射性物質のラドンが発見されて肺がんとの関与が疑われるようになり、坑道内部の濃度が実際に測定できるようになると、地上よりも100倍以上の高いラドン濃度であることが判明しました。これに慌てた鉱山関係者たちはすぐさま対策として強力な送風機を設置して新鮮な地上の空気を坑道内へ大量に送り込んでみたところ、坑道内部のラドン濃度はみるみるうちに地上と同程度にまで低下し、鉱山労働者の肺がん発生率や死亡率も徐々に減って一般人と同等レベルにまで改善していきました。

このことから世界的に肺がんの主因は吸入摂取したラドンであり、肺内部で崩壊して生じたα線によるものであるで断定されたのです。

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