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弊社のラドン濃度測定方法とその結果

我々は放射線測定の専門家と自負しており、我々だけしか作れない放射線測定器も所有しています。

2023年7月28日に行われた原子力規制庁の「我が国で実施された屋内ラドンに関する調査を踏まえた屋内ラドンへの対応の在り方について」には昭和60年から平成21年までに実施された5個の研究が引用されています。しかし、それらの研究は全てある地点での長期間の平均ラドン濃度を測定する研究です。日本の中でウラン鉱山を探す研究としてならば適切ですが、建物内あるいは部屋の中でラドン濃度の濃い場所を探す研究としては全て不適切です。

UNSCEARやWHOの勧告は、そしてアメリカなど各国政府の国民への呼びかけは、1個の気密ブロックの中にはラドン濃度の不均一がある。自宅や職場の様々な場所でラドン濃度を測定し、1ヶ所でも屋外濃度の5倍以上の場所が見つかったら空調の改修工事を行えというものです。そしてこれが肺がん死者を減らす非常に有効な方法です。

建物全体が1個の気密室になっている建物は、事務室用の建物を中心に存在します。その場合は建物全体の複数箇所で、特に1階の床付近で、ラドン濃度を測定すべきです。この場合はアメリカで使われた測定期間の長い測定器も有効です。

日本の標準的な個人住宅では寝室・居間・台所+食堂がそれぞれ1個の気密室となっています。別ページで述べたように、各部屋のラドン濃度は住民が入室した時が最低で、住民が室内にいてエアコンや換気装置を動かすと増加し、住民が出てゆく直前が最大になります。各部屋の高さを変えた複数箇所で、少なくとも30分以内の測定を1時間ごとに行う必要があります。写真フィルム型測定器なら少なくとも有効面積2,500cm2程度は必要でしょう原子力規制庁の「・・・屋内ラドンへの対応の在り方について」に引用されている5個の研究はUNSCEARやWHOの勧告には全く無意味な研究です。

室内ラドン濃度の測定は、試料となる空気の採取試料からα線の計測、の2つに分けられます。

まず最初に試料となる空気を適切な方法で採取します。ラドンの密度は空気の7.5倍です。密室ではラドンは室内下部に集積します。そのため空気サンプルを採取した高さの情報が不可欠です。先ほどの5個の研究では寝室とか台所などの部屋の種類は書かれていますが吸気口の高さは示されていません。空気サンプルを採取する直前と採取中は部屋の空気を攪拌するような行為は行なってはなりません。もしサンプル採取中に入り口ドアを開閉すれば床付近に溜まったラドンが廊下から階段を通って1階に落ちてしまいます。1階の寝室や居間を測定している時でもドアを開ければ建物内で最も低い玄関土間にラドンガスが流れて行きます。そして室内にいて採取装置を操作する人が室内の空気を攪拌しないように、5分以内の短時間でサンプル採取を終了させなければなりません。ところが上記の研究では測定時間=サンプル採取時間が3ヶ月〜1年で、住人が自由に出入りして窓の開け閉めまで行っています。これではその室内全体の平均ラドン濃度しかわかりません。中にはフロー型測定器と置いて部屋の中で対流が起きるほど大量の空気を測定器に流している研究もあります。これも平均ラドン濃度しかわかりません。

次に、採取した空気の中でα線の強度を測ります。

この測定において最も重要な測定器の性能はα線が測定できることではありません。測定器の周りには測定したいα線以外にも雑音となるものが数多く存在しており、外気中のラドン濃度が20〜25Bq/m3なのに対し、第1の雑音として宇宙線のμ粒子が1,000個/m2の強度で飛来して来ます。もし測定器の有効体積が10cm×10cm×10cmであるならばラドンからのα線は1分に1個程度通過しますが、宇宙線のμ粒子は毎秒10数個通過します。すなわち測りたいα線とは別にそれよりもはるかに多いμ粒子が雑音として存在しているのです。そのα線の信号とμ粒子のノイズ比は1:1000です。さらに第2の雑音として環境γ線があります。トリウム232は水溶性なので、海中で生成する石灰石に含まれます。トリウム232が崩壊すると鉛208になる直前のタリウム208が自然放射能で最も高い2.615MeVのγ線を出します。このγ線が測定器の壁などでコンプトン散乱をするとβ線に変わります。このβ線の強度は壁の厚さに依存しますが、おおむねα線信号とβ線ノイズの比は1:100程度です。すなわちラドン濃度測定ではα線の1000倍存在するμ粒子や100倍存在するβ線に感度がない測定器、あるいはμやβに少々感度があってもα線とは明確に識別できる測定器が必要です。

先ほどの5個の研究にはα線とμの識別が原理的に不可能な静電捕集箱を使った研究がありました。他の4研究はパッシブ型ラドンモニターとしか書かれていませんが、α線が測定可能なパッシブ型放射線測定器は薄型Si半導体測定器だけです。この測定器は信号とバックグラウンドが同程度なら信頼できる結果を出しますが、バックグラウンドが非常に多い今回のような測定では信号増幅回路にμ粒子が入射すればαと同じような信号を出します。さらにこの4研究は測定時間が3ヶ月以上なので、室内のラドン濃度分布の測定には全く不適当です。

参照:
厚生労働科学研究 「屋内ラドンによる健康影響評価および対策に関する研究」(平成19年度~平成21年度)
原子力規制庁長官官房放射線防護グループ放射線防護企画課「我が国で実施された屋内ラドンに関する調査を踏まえた屋内ラドンへの対応の在り方について」(PDFファイル)

我々は室内のある狭い場所でのα線強度の測定に特化した独自のα線測定器を開発しました。この測定器は空気の採取とα線の測定の2部門に分かれます。

我々の空気採取装置は風船と小さな空気ポンプ、そしてスタイロフォームと黄ボール紙で作られた50cm×50cm×高さ方向2cmの空気室からなります。例えば寝室のラドン濃度を測定する場合は、住民の方に寝る前に空気室を睡眠中の顔と同じ高さに設置します。そして翌朝目覚めたら最初に空気ポンプのスイッチを入れ、空気室から風船へ空気が移動し風船が直径30cm程度に膨らむまで、しばらく何もせずに放置します。そして風船が十分膨らんだのを確認してからスイッチを切り装置全体を弊社の実験室に送ります。

我々の測定器本体は霧箱というもので、ドライアイスでマイナス40℃に冷やした過飽和エタノール蒸気の中に放射線が通過した時にできるイオンを中心とした液体エタノールの飛行機雲を観測します。毎秒1枚で30分間写真を撮り続け、直線状の雲が映った写真を探します。宇宙線μ粒子の雲は明らかに薄く1秒で消えてしまい、β線の雲は頻繁に折れ曲がってしまうのに対し、α線の雲は太く明るいため、μやβの雲と簡単に識別できます。まただんだん広く薄くなりながら3秒程度見え続けています。これによりでαとμとβを確実に区別できます。

霧箱で観測したα線の飛跡

我々独自の測定はUNSCEAR2008の主張とほぼ一致しました。我々の会社所在地は千葉大学西千葉キャンパスの元薬学部2号棟であり、築50年です。また我が社の社員の自宅は全て築40年以上です。そのためUNSCEAR2008のように天井付近と床付近のラドン濃度比100倍は観測できませんでしたが、実測値として室内の天井と床には10〜30倍のラドン濃度比があることが確認できました。ともあれ1・2階でエアコン使用を前提に作られた部屋ではラドンが下部に集積することは証明できました。

肺がん死者数はクーラー普及前の1970年ごろは毎年10,000人程度でした。タバコの消費量は2000年まで微増した後に30%に急減した。現在の肺がん死者数は毎年80,000人程度です。そのうち70,000人はラドンによる被曝が原因と思われます。

がんは正常細胞1個ががん細胞になってから、がん細胞が分裂を繰り返し、がん組織が増殖し、遂に死に至るまでに20〜30年かかります。現在のような天井排気の空調法を続けるなら、30年後には毎年1,000,000人が肺がんで死ぬかもしれません。

天井排気を床排気に変える工事は簡単です。器用な人ならDIYの店で材料を購入して自分で作業できます。建築の専門家に依頼しても百万円以内の工事費で行えるでしょう。

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