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ラドンを溜め込みやすくなった現代日本住宅

エアコンと天井換気が普及するとラドンが増加する

国連機関の1つであるUNSCEARは世界各地の建物内のラドンについて調査を行い、2008年に「エアコンが普及して建物の気密性が高まると、部屋の底部に空気より重いラドンが蓄積しやすくなり、肺がんが増える」という報告を行いました。

屋内ラドンは基本的に一様な状態を保っている屋外のラドンに比べて室内の気密性や換気の影響を受けて大きく変化するという特徴があります。

かつての日本家屋は江戸時代以前から明治・大正を経て昭和初期あたりまで柱構造を基本として襖や引き戸で区切られていた非常に風通しの良い居住空間だったものの、戦後の昭和中期以降、特にエアコンが普及し始めてから建物の気密性が徐々に高まり、近年では更なる空調効率とシックハウス症候群対策を求めてより高い気密性と天井から室内の空気を排出する天井換気システムが普及しました。

しかしこれはラドン濃度をという観点で考えると最悪の空調環境であると言えます。

空気よりも7倍近く重く他の物質とほとんど反応しない特性を持つラドンは、気密性が高く空気の流れが屋外よりも乏しくなる室内では重力の法則に従って部屋の底部(床付近)に溜まやすくなり、逆に部屋の上部の天井付近のラドン濃度は低下します。このような状況で天井に設置した換気装置を起動させてしまったら、給気口からラドンを含んだ屋外の空気を取り入れつつ、排気口からラドン濃度の低い綺麗な空気を屋外に捨ててしまうことになります。

いわば浄水場の沈殿槽の底に溜まった泥やゴミを含んだ水を飲料水に使い、上澄みの綺麗な水を捨てるようなものであり、このような状況に陥った室内のラドン濃度は容易く上昇していき、最悪の場合には屋外の100倍に達すると試算されました。弊社の行った調査でも気密性があまり高くない築35年の住宅であっても、換気扇を回し続ければほんの数時間で室内の床付近のラドン濃度は屋外の4倍近くに跳ね上がることが確認できました。

UNSCEARの報告を受けてWHOは「人の立ち入る建物内のラドン濃度を測定し、一定の濃度を超えるようなら対策を講じよ」という勧告を出し、各国政府に向けて屋内ラドン濃度の測定と対策を推奨しています。この「一定の濃度」とは屋外ラドンの世界平均濃度の5~7倍とされていますが、残念ながら日本政府はこれらの測定や対策を満足に行っているとは言えません。

床付近のラドン濃度の上昇は、とりわけ寝室の床に敷いた布団または低いベッドで眠る人や、背の低い乳幼児に対する影響が大きくなります。

人生の3分の1~4分の1を寝床で過ごすと考えれば、室内のラドン濃度の存在がご家族の将来のがんの発生に対して密接に関わってくることになります。

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