空気中のラドンが増えると肺がんの発生確率も増加する
肺がんは呼吸によって取り込まれたラドンからの放出されるα線が放射線に弱い肺の細胞に当たってしまうことによって発生すると解説しましたが、がんの発生には確率が絡むため、周囲のラドン濃度が低ければ肺がんの発生確率は低下し、逆にラドン濃度が高くなればなるほど発生確率が上昇していきます。
ラドン濃度が2倍になれば肺がんなる確率も2倍に、10倍になれば10倍に、といった具合です。
特に気密性の高い空間では空気よりも重いラドンが下の方に下の方に溜まっていきやすく、このことはかつて鉱山で働いていた労働者たちの間で、地下の密閉空間での高濃度ラドンによる肺がん死亡者が多発していたという事実から国際社会では1950年代頃から知られていました。
国際的な評価基準として、放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)という国際会議が2008年に行われた際、世界中の鉱山内部ラドン濃度と鉱山労働者の肺がん死者数を精密に調査したところ、人口1億人あたり毎年6,300人(最新の2024ねン報告では人口1億人あたり毎年9,000人)もの方がラドン由来のがんで亡くなっていると評価されるようになりました。
そして2008年報告ではラドンの影響は鉱山内部や地下施設だけでなく、私たちが暮らしている一般の住宅においても「エアコン普及によって建物内の気密性が向上し、空気よりも重いラドンが室内の底部に蓄積し、それによって人へのラドン被曝が増加している」という指摘が出されたのです。
詳しくは別ページで解説しますが、現代の住宅は昔と比べてはるかにラドン濃度が上昇している危険性があり、そこに暮らす人たちは肺がんになりやすい空間を長時間過ごすことになります。
エアコン普及による建物内のラドン濃度上昇

その指摘を受けて世界保健機関(WHO)は翌年の2009年に「人の立ち入る建物内のラドン濃度を測定し、一定の濃度を超えるようなら対策を講じよ」という勧告を出しました。この勧告を受けて主要国の多くが屋内のラドン対策に乗り出すようになりました。

上のグラフは主要国(G7)における肺がん死者数の年代推移です。
このグラフを見れば、主要国の中で日本だけの肺がん死者数だけが一本調子に増加し続けており、他の主要国の肺がん死者数は明らかな減少に転じている様子が見て取れます。
ラドン対策の有効性は国際社会でも認められているのです。
しかし、本ホームページをご覧になっている皆様もご存じのように、日本ではラドンに関する法規制や対策はほとんど行われていません。
ご自宅のラドン濃度を測ることやラドン対策を行うことについて聞いたことのない方がほとんどだと思います。
詳しくは別ページにて解説しますが、様々な事情が絡んでラドンの危険性に関する情報は国民への周知がほとんど行われておらず、主要国の中で日本だけラドン対策が遅れてしまっています。
この状況は続いてしまえば、日本における肺がん患者数・死者数は増加し続け、やがて日本の医療現場をひっ迫させてしまうことは想像に難くありません。


