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補足:欧米諸国と日本の建物構造の違いと、それぞれに適したラドン濃度測定の違い

外壁構造と柱構造の違い

建物はその構造の違いによって外壁構造柱構造の2種類に分けることができます。

これはそのまま欧米諸国と日本の一般住宅の構造の違いに現れているのです。

欧米諸国の建物の多くは外壁構造をしており、これはヨーロッパの都市で最も危険な災害が火災であることに起因しています。そのため建物内の可燃物の使用を最小限にし、建物の荷重を石造りの外壁で支える構造になっています。

気密性も外壁で区切るのが一般的であり、建物全体の床面積に比べて入り口が小さいことから、入り口を開けても建物内のラドン濃度はあまり変化しません。

最近になってエアコンが普及した後も外壁の隙間を塞ぐことで対応しています。近代的な高層ビルでも外壁とエレベーターホール+非常階段を囲む内壁によって支えている構造を基本としており、1フロア全体が1つの気密空間を形成していることが多く、建物全体が1つの気密空間として捉えることも出来ます。アメリカではさらに竜巻対策として地下シェルターを備えている地域もあります。

これらの要素から欧米諸国の建物内のラドン濃度は1年を通じて変動が少ないと判断できます。

一方、日本の建物は柱構造を基本としており、内部が小さな部屋に分かれていて一部屋ごとに密室となっている場合が多数見受けられます。これは日本で最も危険な災害が地震であることが起因しており、多くの個人住宅が木造であることを含めてかすがいを入れた構造壁を多用していることも特徴的です。

そのため近年の日本住宅は特に部屋ごとに独立した小さい気密空間を作りやすく、ドア窓の開け閉めによって簡単にラドン濃度が変化してしまいます。さらにエアコンが普及した後にはエアコンを1部屋に1台設置し、天井に換気装置を設置するケースが増えていきました。

高層ビルでも内部に鉄筋または鉄柱とコンクリートの柱を多数配置し、巨大地震の揺れに耐えられる構造になっています。この内部の柱の存在が1フロアを容易に複数の部屋に分割する要素となったがゆえに、日本の高層ビル内の1フロアに複数の気密区画があることが一般的となっています。

これらの要素から近年の日本の建物内のラドン濃度は1年どころか1日の間でも変動が大きいと判断できます。

ここで問題となるのは、アメリカ等の欧米諸国で使用された写真フィルム型検出器はラドン濃度が1年を通じてほとんど変化しない場所での測定を前提にしており、あくまで欧米諸国の住宅構造に適した運用がされていた、という点です。

実際に写真フィルムによってラドン濃度測定が行われているアメリカで最も危険な自然災害は竜巻であるため、前述の通り竜巻多発地帯においてシャルターの役割を持つ地下室を作ることが一般的です。

当然、空気よりも重いラドンが地下室に集積することが予想されました。

そこで地下室のラドン濃度を測定するとき、ラドン測定器を3ヶ月〜1年間地下室に設置していました。また先ほど書きましたように、欧米の建築物は壁で構造を支えるのが一般的です。建物内部は基本的にがらんどうです。気密構造も建物全体が1個の気密室です。ラドン濃度は住民が玄関から出入りした時や窓を開けた時に一時的に下がりますが、それ以外はほとんど変化しません。

それためアメリカでの測定では小面積の写真フィルム型検出器による長期間測定でも意味のある情報が得られました。

それに対し日本の住宅は一部屋一部屋が独立した気密室となっており、部屋の床面積に比べて入り口扉や窓が大きいので、扉や窓を開けるとラドン濃度は大きく変化します。部屋の扉や窓を開けると部屋全体が屋外のラドン濃度になりますが、寝室では住人が夜部屋に入って眠ってから朝目覚めるまでの時間帯は天井排気のせいで床付近のラドン濃度が非常に高くなります(くわしくはこちら)。食堂では家族全員が揃って食事を始めてから全員が退出するまでの約1時間に天井排気が使われてラドン濃度が高くなります。

そのため日本の住宅内のラドン濃度を測定するとき、小面積のフィルム型検出器を採用したアメリカの手法をそのまま導入したのでは意味のある情報を得ることができませんでした。

日本の建物内のラドンα線のリスクを正しく評価するためにはラドンα線と他の放射線を明確に区別できるだけでなく、できるだけ短期間測定を行い、時間ごとの変動を測定できる検出器を使用する必要ががありました。

  • 屋内ラドン濃度調査を行う時、日本の住宅と欧米諸国の住宅の構造の違いを考慮に入れる必要があった。
  • 欧米諸国の住宅は基本的に外壁構造であり、建物全体が1つの気密空間となっているため、1年を通じてラドン濃度の変動が小さい。
  • 日本の住宅は基本的に柱構造であり、部屋の1つ1つが独立した気密空間となっているため、1年どころか1日の間でもラドン濃度の変動が大きい。
  • そのため日本で写真フィルム型検出器を使用するならば、アメリカのように小面積での長期間(数か月~1年)測定ではなく、。大面積での短期間(最低でも数時間〜数日)測定を行う必要があった。
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